家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

「もちろんだよ。女性をダンスに誘うのにどうして嘘をつくのさ?」
首をかしげる青年が嘘をついているようには見えない。

この青年は本気で絵ソフィアをダンスに誘っているのだ。
だけどソフィアは半信半疑の眼差しを青年へ向ける。

広場へ出ればキレイな女性たちが沢山いるのに、わざわざソフィアに話しかけてきたのだから疑っても当然のことだった。
「わかった。あなた私を後で笑いものにする気でしょう? 仲間はどこにいるの?」

キョキョロと注意を確認しはじめるソフィアの両手を青年が握りしめた。
有無も言わさずダンスの体勢を取らされる。

「君は僕の腰を持って」
促されてソフィアは恐る恐る青年の腰に自分の手を回した。

見た目よりもしっかりとした腰回りにドキリとする。
「ステップを踏んで。ゆっくりでいい」