家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

「こんなところでなにしてるの?」
気さくな話し方にハッと息を飲んで目を開ける。

さっきの青年がクスクスと笑いながらソフィアを見ている。
これは……現実!?

途端に逃げ出そうとするソフィアを青年が腕を掴んで引き止めた。
「待って! 君はパーティーに参加したいの?」

屈託のない笑顔と残酷な質問にソフィアの表情が引きつった。
「この格好で参加できるはずがないでしょう?」

その言葉に青年はようやくソフィアはボロボロの服を着て素足でいることに気がついた。
しばし呆然としていた青年だけれど、ソフィアの腕を離そうとはしない。

「元々少し見学するつもりで来ただけよ。もう帰らないと」
「そっか……でも、音楽はここまで届いて来てるよ。少しだけ僕と踊らない?」

青年の言葉にソフィアは驚いて目を見開いた。
「それ、本気で言ってるの?」