もし自分たちの家族にバレてしまったら、眠れないくらいの叱責を受けるかも。
ここへ来てソフィアは怖気づいた。

もともとなにかを楽しむためのお金だって持っていないソフィアは、木の影に隠れ広場を見渡した。
街の人々は楽しそうに歌い、踊る。

せめてあの中に入っていくことができればいいのに。
そう思いながらも見ているだけで心が満足していくのを感じる。

ここにいれば自分もパーティーに参加できている気分になってくる。
ソフィアは木の影に隠れたまま1人でステップを踏み始めた。

足元には小さな石や小枝が転がっていて踏みつけるたびに痛みが走ったけれど、気にならなかった。
自分は今とても綺麗なドレスを来てパーティー会場の真ん中で踊っている。

目を閉じて音楽だけを聴きながら想像すると、楽しくなる。
もちろん、ダンスなんてしたことがないから、動きだって適当だ。