家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

人々の笑い声、幼い子のはしゃぎ声が大きくなる。
ソフィアは窓に取り付けられている鉄格子を両手で強く握りしめてその様子を見つめた。

誰もソフィアに気がつくことはなく、陽気に歌い、踊り、そして食事を楽しんでいる。
ソフィアはそのどれもに惹きつけられて目をそらすことができなかった。

自分が5歳だった頃のパーティを思い出し、体全体が熱くなるのを感じる。
あの中へ入っていくことができればどれだけ楽しいだろう。

もう1度、あの時の楽しさを味わいたい……。
普段ならどれだけ外に出たいと願っても、決して自分の力を使うことはない。

それを使ってしまえば最後、小部屋からも追放されてしまうかもしれないから。
ソフィアはどんな待遇を受けてもここの家族でいたかった。