家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

我ながらいい考え!
ソフィアは嬉しくなってパンッと手を叩く。

マルクだってずっとここにいるよりも広場に出てパーティーに参加したいはずだ。
しかしマルクの反応は鈍い。

怪訝そうな顔をソフィアへ向けただけでなにも言わない。
「パパママにかけあってもらえない?」

「そんなの無理に決まってるだろ。その格好で王子様の前に出られるとでも?」
蔑んだ言葉にソフィアは自分の姿を見下ろした。

成長が止まってからはほとんど服を買い替えてもらえることもなくなり、この服も随分とボロボロになっている。
「そ、それならイザベラの服を借りればいいわ! きっと貸してくれるはず!」

それでも食い下がってくるソフィアにマルク歯大げさに肩をすくめてみせた。
「イザベラがお前のためになにかすると思うか?」

その質問にもすぐに言い返そうと思ったけれど、喉になにかがひっかかったようになって言葉が出てこなかった。