それが原因で庭の塀が壊れたこともある。
だから、絶対に騙されちゃいけない。

それが、エミリーやマルクが言われていたことだった。
実際にその力を見たことはないが、魔女であると言われればそう見えてくるから不思議だった。

なによりも、自分を雇ってくれる人の忠告を裏切るつもりはなかった。
言われた通りの仕事をこなしていれば、契約通りの賃金が手に入るのだから、妙なことに首を突っ込むつもりは毛頭なかった。

「私も5歳の頃に参加したことのあるパーティーだわ! あの人が、またこの街に来るのね!?」
鉄格子の中のソフィアが目を輝かせて興奮すればするほどにエミリーは恐怖に震え上がった。

「こ、こんなところで油を売っている暇はないんだった。掃除掃除」
エミリーは冷や汗を流しながら逃げるようにその場を後にしたのだった。