それでもソフィアは1人で会話を続けた。
自分の古ぼけて穴だらけになっている服を見下ろす。

サイズが変われば買い替えてもらえるけれど、古びただけではなかなか新調してくれることのない服。
18歳になったソフィアの身長は成人のそれと変わらないため、もう1年間も同じ服を来続けている。

ふいにマルクが顔を上げたかと思うと、蔑んだ笑みをソフィアへ向けた。
「どれだけ綺麗な服を着たって意味ないだろ。あんたはずっとこの小部屋の中から出られないんだからな」

マルクのイジワルな言葉を聞いてソフィアは顔をしかめ、黙り込んだ。
ここに入れられてから10年間。

外へ出るのは月に1度だけ。