家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

それでもソフィアは暴れまわるので簡単ではない。
「私も手伝おう」

その声はパパのもので、ソフィアの動きが止まってしまった。
パパはソフィアの両足を押さえつけて、そこにマルクがロープを準備する。

ふたりの動きは見えないけれど、パパが協力的であることは間違いなかった。
この家族にとって私は不要なものなの?
いてはいけない人間で、イザベラの言う通り、私は変人?

ジワジワと心が冷たく冷えていくのを感じる。
怒りや悲しみは一瞬だけ湧き上がってきて、あとに残るのは無だった。

もういい。
なにもかもおしまいだ。