家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

「どうしたの? 早く食べなさいよ。それが最後の晩餐になるんだから」
クスクスと笑い声をあげながら言うイザベラにソフィアは愕然とした。

これが最後の晩餐?
私を殺す気!?

アレンがここへ来るということは小部屋にいるソフィアの存在を知られるということを意味している。
それを回避するためには、街で噂になっている通りソフィアを殺してしまうしかないんだ!

「お願いお姉さん! ここから助け出して! 私、死にたくない!」
必死で鉄格子にしがみついて叫ぶけれど、イザベラは今までの笑みを崩さない。

この食事を終えれば妹が殺されるとわかっていながら、それをたのしんでいるようにも見えてゾッとした。
最後の晩餐として用意された食事も、ソフィアは少しも手をつけることができなかったのだった。