家族に虐げられた令嬢は王子様に見初められる

イザベラは話を続けた。
「話を戻すけど、私と彼はこの家で暮らすことになったの。パパママと一緒にね」

「え?」
結婚というから家から出るのだと思ったけれど、そうではないらしい。

「だってほら、彼の家族ってちょっときつそうでしょう? だから嫌だって言ったら、こっちに来てくれることになったのよ」
イザベラがアレクへ向けてわがままを言う様子がすぐに脳裏に浮かんでくる。

アレクはきっと断れなかったんだろう。
「だから、ほら、私がいいたいこと、もう分かるわよね?」

そのタイミングを見計らったかのようにエミリーが昼食を運んでいた。
普段はパン一枚なのに、今日は野菜スープにデザートのドーナツまでついている。

これじゃまるで最後の晩餐みたい……。
そう感じた瞬間ソフィアは息を飲んでイザベラを見つめた。