65リットルよりも、笑って。





「……ありがと、先生」



もういいや。
プライドとかいらないか、ここまで来たら。

だって見るからに悲しい姿になっちゃったのに、クスリとも笑わなかったし。


いっそ笑ってくれとまで思っていたのに、この人は私にウィッグまでプレゼントしてくれた。



「これって考え方によってはしょっちゅうヘアスタイル変えられるってことだよね」



いちいち美容院行かなくていいんだよ?

私、わりと苦手だったから。


美容師さんって話術も仕事のうちだと思っているからか、けっこう私生活についても根掘り葉掘り聞いてくるタイプも中にはいるじゃん。


本当はあまり話したくないタイプだけど、ほら私って話好きとかのイメージも持たれやすいから。

今までちょっと億劫なところがあった。



「蓮夜みたいにニット帽合わせてもかわいい?」


「……いいんじゃないか」


「あー、すっごい適当だったね今。それだったら言わないほうがいいから下手くそ」


「…わからねえんだよ、そういうのは」


「そっかそっか。そうだったねえ」