「命を救うはずの医者である俺が、神頼みしかできない。それくらい……なにも、なにもできないんですよ」
初めて会ったときよりだいぶ痩せて、顔色もよくない。
抗がん剤の副作用がありながらも毎日しっかり3食取っているはずだというのに。
しょっちゅうチョコやらケーキやらも食べては間食しているから、栄養が足りていないわけではない。
これは病的な体重減少だということは明らかだった。
「病気を救うことも、泣いている彼女を慰めてやることも…。医者ってこんなに……、こんなに情けないんですね」
なにも、できない。
こんなにも神を貶した俺が、結局は頼る先は神様だ。
そして近いうち必ずやって来る別れの覚悟など、到底できてもいないんだよ。
死なないと思っている。
こいつは半年後も1年後も5年後、10年後。
変わらずヘラリとしたイタズラな笑顔を俺に向けてくるだろうと。
「ごめん…、ごめん、なゆ…っ」
「…斑鳩くん」



