「じゃあ今でよかったね。そのときの生徒会長さんだったら、きっと私のことなんか好きにならないね〜」
「…どうだかな」
「え、なる?あ〜ごめん、たぶん逆だ。私のほうが好きにならない」
拗ねたのか、「おい」と言いながら距離を縮めてくる。
「なら…今は好きか」
「………そのぶんは先生の未来の奥さんに譲りたいから言わない」
はっと、気付かされるように顔を向けてきた。
感じながらも、夜景に目を通して私は笑う。
「これ以上は貰えないよ。これ以上はほんとうに幸せすぎ───ひゃっ!」
今まででいちばん強く抱きしめられた。
なにを察したのか、私の言葉になにを思ったのか、震えている腕がすべてだ。
ちゃんとね、考えいるから私。
なにも考えてないように見えるかもだけど、普通に考えてるよ。
「おまえ…、だからいつも言わねえのかよ、」
「…うん」
「なんだよそれ……ふざけんな」
「ふざけてない。超まじめだよ」
未来の奥さまへ。
このくらいは許してください。
背中に同じように腕を回すくらいは……したい。
先生、…泰斗くん。
大好きだよ、泰斗くん。



