「なゆちゃん、保護者の方がロビーで待ってるって。ほら急いで急いで」
「え、ちょ、」
クリスマスパーティーも終盤。
そこで動いたのは間宮 美子という看護師だった。
「ちょうど良かった。斑鳩くんもこのまま帰るなら、なゆちゃんを送ってあげてくれる?」
「……わかりました」
そう言って「外泊、ゆっくりしてきてね」をコソッと追加させて、私たちの背中をポンッと押した美子ちゃん。
だれも疑う人間などいない。
子供たちもクリスマスメニューやテレビに夢中で、その隙をそうっと抜けるようにロビーへ。
もちろんそこには保護者の姿はなく、私たちの姿のみ。
「……先生って、通勤は電車?」
「…今日は車」
「わっ」
くいっと手が引かれる。
そのまま病院を出れば、冬の匂いと冷たい風が頬を撫でてきた。
それさえ足りないと思ってしまうくらい、胸はドキドキと鳴っては熱い。



