「病気じゃなかったとしても、誰だっていつどうなるか分からない。なにが起こるか分からない毎日は……誰もが同じことだから」
そこに私の場合は“病気”だと、“余命”だと、はっきりと名前が付けられただけ。
隠されていたフィルターを外されてしまっただけ。
命の終わりというものを、目に見える存在に変えられてしまった。
ただそれだけのこと。
「って考えられるようになった私、めちゃくちゃ成長してない?」
「…なゆ。すきだ」
「……急だなもう。びっくりするって」
好き、私もだよ。
でもごめん、先生。
その言葉だけはどうしても言えないみたい。
この人にとって私は道。
この先たくさんの命を救う存在になるための……近道くらいになれればいい。
私ね、それだけでしあわせなんだ。
「クリスマス楽しみだね。…泰斗くん」
「……その日、俺の───」
「あっ、なんかメッセージきた。…って、迷惑メールだし。先生、なにか言いかけてなかった?」
「…いや」
たぶん明日になったら私はまた同じ質問をしちゃうんだ。
この病院はクリスマス何かしないの?って。
うんざりしないでね、先生。
同じことをたくさん言うってことは、それくらい私自身は“覚えていたかったこと”なんだと思うから───。



