「わっ、びっくりした…。…なゆちゃん、もうすぐ消灯時間だよ」
「お〜、佐藤先生がいるなんて珍しい」
リハビリテーション科は当直勤務のイメージがなさすぎる。
その夜、消灯時間が迫っているなかで私は休憩スペースに座っていると、幽霊と勘違いした医者が声をかけてきた。
ここの窓から見る景色を意外と気に入っていて、1人になりたいときとか、たまに活用させてもらっている。
「眠れないの?」
「うん。夜9時が消灯時間だなんて18歳には早すぎるって」
「はは、確かにね」
都会は夜景だけが綺麗だ。
昼間の雑踏は嫌になるけど、遠くから見る夜景だけは褒めてあげる。
実際地上では危ないことが行われていたところで、関係ない私はネオンのひとつとして見ることができるから。
「佐藤先生こそ、こんな時間までお仕事?」
「…残った事務作業を片付けていたんだ。そしたらこんな時間になってしまった」
「ふーん。お医者さんって大変だね。リハビリとか診察だけじゃなく、事務の仕事もあるなんて」
「そうだねえ。まあ、やりがいはあるかな」



