65リットルよりも、笑って。





たとえ若い女性看護師と話していたからって、名前を呼んでいたからって、私がこんな気持ちになってどーするの。



「……先生。何度も言うけど大丈夫だって。食欲もあるし、私は元気だよ」



蓮夜がいなくなったことが私の精神面にも大きなダメージになったとでも思っているんだろう。

元気がないと免疫力も下がって、病魔はその隙に襲ってくるものだから。


それからの日々も私は変わらず笑っていた。



「…俺が心細い」


「……あははっ、寂しくなっちゃったんだ」



私も寂しいよ。

もうあの笑顔は見れないんだって、この病室にも来てくれなくて、抱っこできないんだと思うと。


心にぽっかり穴が空いたみたいに、さみしい。



「…夢、見たんだ私」



あれはたぶん、会いに行けなかった私への蓮夜からの贈り物だったんだ。



「蓮夜ね、……ずっと笑ってた」



あれ、私としては夢じゃないって思いたい。


そう思うようにしてる。
捉え方なんて人それぞれ。

自分が思うように捉えちゃえばいい。