65リットルよりも、笑って。





「…言うほど楽しくないよ。私だって学校なんか大嫌いだったし、友達もいなかったもん」


「じゃあ、病院のほうがたのしい?」


「……うん。楽しいよ」



嘘をついた。


病院のほうが楽しいわけないじゃん。

私自身は本当に学校も勉強も好きじゃなかったから、考えなくてよくなった今がラクでもある。


でも、小学校はさ。

小学校なんか、いちばん楽しいに決まってる。



「蓮夜は正義のヒーローだから、学校なんか通ってる暇ないくらい……みんなを救う役目があるでしょ?」


「うん!あっ、でもオレ、足し算と引き算できるんだよ!クルミせんせーに教わった!」


「……っ、そっかあ…」



ひらがなも書ける、ちょっとだけ漢字も。

そう言って無邪気に笑う男の子を、涙だけは見せないように抱きしめることで精いっぱいだった。



「オレもうね、苦しくないんだ。からだも痛くないもん」


「……蓮夜?」


「これからはたくさん走っていいんだって。ファイバーレッドがね、オレに言ってくれたんだ。今までよく頑張ったなって、褒めてくれた!」