65リットルよりも、笑って。





「わー、星いっぱいだよ蓮夜」


「キラキラしてる!すげー!」


「ねっ、すげーね。掴めそうだねえ」



おかしいな。

いつも屋上なんか、昼間くらいしか解放されてないのに。

それに一般は立ち入り禁止ともなっていて、基本は入れない場所。


けれど今日は違うみたいだ。


この都心でここまでの星空が見られることだって、ぜんぶが不思議な夜だった。



「寒くない?もう10月も終わるとかびっくりだよね~」



こんなに小さかったんだ、この子。

改めて感じたぬくもりを、私はぎゅっと抱きしめた。


あたたかい命の音がする。


トクントクンと、確かに動いている。

今にも消えそうな音で、ひとつひとつ脈を打っている。



「ねー、なゆ」


「んー?」


「小学校って、どーいうとこ?たのしい?」


「…………」



去年から入院している蓮夜は、本当なら今年から小学生。

ランドセルを背負って学校という場所に通う当たり前な日常を、この子は経験していない。


ずっと病院。


点滴を打って酸素を取り付けて、たくさんの管を身体中に通して。