65リットルよりも、笑って。





「……ぷっ。あははっ」


「…なに笑ってんだよ。なにが笑えるんだ」


「…なんだろね」



なんか、先生がいるからいいやって思った。

私だって1患者でしかないのに。



「────なゆ!」


「……れんや…?」



そしてそれは、とある夜のことだった。

なぜか消灯時間の過ぎた院内を探検のような気持ちで散歩していた真夜中。


そんな私のもとに、変わらないパジャマ姿とニット帽をした久しい顔が笑いながら駆け寄ってくる。



「なにしてるの蓮夜…!勝手に病室を抜け出して、先生たちに怒られるよ?」


「もう大丈夫!」


「…大丈夫って、まーたこいつは」



抱っこ、なんて甘えてくる蓮夜が可愛くて。

軽く叱りながらも小さな身体をひょいっと抱き上げる。


どこに行こっか。

せっかくだし、きれいな景色が見られる場所にでも行こう。

もし誰かさんに見つかったら、私もいっしょに怒られてあげる。


どうしてかそう思った私は、少年を連れて病院の屋上へと向かった。