「どうしたの?」

どう見ても困っていたので、放っておけずに声をかけながら横に行く

と、女の子が後ろに振り向いた


「おーい、隣だよ。どうしたの⁇」

!!!!

バッと効果音がつきそうな勢いで隣——つまり僕——を見た女の子

ポカーン

口を大きくあける目の前の彼女。そんな表情でも可愛い、と思った自分に心底驚いた

放心状態の彼女を見て、ハッと我にかえる。……驚いている人を見ると落ち着くもんだよね


「おーい。大丈夫⁇どうしたの?僕、これ言うの3回目なんだけど。」

もう一度声をかけると、ハッと目を見開いた彼女

「あ、はいっ。なんですか⁇」

「なんですかって…。いや、困ってそうだったからどうしたのかなって訊いたんだよ?大丈夫⁇」

あんなに頭を抱えていたのに…

「あ、実は第1会議室の場所が分からなくて…。ご心配ありがとうございます。」

「会議室の場所⁇えっと…、2年生だよね?」

学年で色が違うシューズを見て、訊く。この女の子のシューズは僕と同じ緑だったから、2年生だと思うんだけど…


「…行ったことがなくて。教えてもらえませんか?」

気まずそうな顔でいう彼女

「全然いいよ。ていうか、第1会議室ってことは実行委員?」

この子もなんだ。こんな可愛い子がするのか…。心配だなあ

「そうです。クラス対抗のオールマイティなんちゃら…?っていう新しくできた行事の実行委員になったんですけど…。」

「やっぱりそうなんだ。僕も実行委員なんだ。あと同じ2年生だし、敬語じゃなくていいよ?」

「はい…っじゃなくて、うん。」

すぐにタメ口に変えてくれた彼女に微笑んで、今更だが彼女の名札を見る

「えっと、海藤(かいどう)さん?」

……海藤さんってなんか聞いたことあるな…。ま、表彰式とかに出てたのかな?そんな感じだよね、うん

「そうで…だよ。ええと、あなたは⁇」

女の子が訊いてきたことに、心底驚いた。後から思い返すと、僕はとてもマヌケな顔になっていたと思う

「え⁇僕のこと知らないの?…って、これめっちゃ自意識過剰な奴だね。」

「あ、うん。ナルシストって感じ?」

「ははっ!言うね〜。」

見かけによらず、結構バサバサ言うタイプらしい