朝の忙しい時間に余り待たせてもいけないと、勇気を振り絞って、司様の待つ食堂へと足を運ぶ。

「…おはようございます。」

そっと襖を開けると、いつもの席に司様が新聞を読みながら待っていてくれた。

「おはよう。朝早く起きていたんだな。…手紙、ありがとう。」

私の手紙…恥ずかしい…。
顔から火が出たみたいに真っ赤になってしまう。

「…すいません。その…手紙の事は…気にしないで下さい。お忙しいのに…ご迷惑を…。」
私は所在無さげにワタワタと席に着く。

給仕が始まり朝食が運ばれてくるから、話はそこで途切れ、お互い気まずい空気の中、司様は無言で手を合わせて食事を食べ始める。

今日のメニューは洋食で、食べた事の無いオムレツやソーセージ、フレッシュな野菜が真っ白なお皿に綺麗に並べられている。

私も手を合わせ、恐る恐るナイフとフォークを手に取って、そっとオムレツを口に運ぶ。

ふわふわのオムライスはそれはそれは美味しくて、口の中で溶けてしまいそうなほどだった。

初めて食べたソーセージはパリっとしていて、ジューシーで美味しかった。

「美味いか?」
ハッとして顔を上げると、フッと楽しそうに笑う司様の顔。

声をかけられるまで夢中で食べてしまっていた。なんだか恥ずかしくて、また俯いてしまう。

「…美味しいです。ソーセージは初めて食べました。」
小さな声でそう言うのが精一杯だった。