次に目を覚ました時には、既に隣に司が居なくて…。
慌てて飛び起き、シャワーを浴びて着物に着替えて身なりを整える。
鏡の前で髪をいそいそと梳かしていると、ガチャっと寝室のドアが開き、莉子は驚き振り返る。
「起きたのか…。」
司は手にお盆と紙袋を持っている。
「ごめんなさい…寝過ごしてしまって。」
慌てて立ち上がり、司の側に駆け寄ると、
「そうさせたのは俺だから、気にするな。」
と、紙袋の方を渡されてふかふかのソファに座らされる。
「あいにく俺は料理が出来ないから、パン屋に行っていろいろ買って来た。好きなだけ食べてくれ。」
渡された袋を開けると、まだ湯気が立ちそうなほど温かい焼きたてのパンが沢山入っていた。
あんぱんに、砂糖をまぶしたコッペパン、アップルパイにクロワッサン。どれも美味しそうな香りが漂う。
「こんなにいっぱい…。
わざわざありがとうございます。司さんはどれを食べますか?」
先に司にと勧めるのに、
「莉子が先に選べ。」
と言って、お盆に持って来た急須を湯呑みに注いでくれる。
「すいません…、私が…」
慌てて手を伸ばすのに、気にするなと譲ってくれない。
「早く選べ。俺も腹が減っている。」
笑いながらそう言う司はどこか楽しそうだ。
莉子は迷った挙句あんぱんを一つ取り出して、司に紙袋を渡す。
「2、3個は食べろよ。俺もこんなには食べられない。」
いただきます。と2人手を合わせ、温かなパンを頬張る。
「美味しいです。」
微笑む莉子に満足したようで、司は2個目のパンを食べ始める。
初めて食べるかのようにどのパンも美味しく、空腹に染み渡った。
「今日は一日中ゴロゴロする日だ。家事も一切しなくていいから、腹が減ったらどこかに食べに出かけよう。」
パンを3個も食べ終えた司は、ベッドでゴロンと寝そべって言う。
「食べて直ぐ寝ると…。」
莉子はこんな話しを前にもしたと、途中で言うのをやめて、
「なんだか前にもありましたね。こんな会話…」
司は可笑しそうに笑い、
「これから何度でも同じ様な会話をするんだろな。楽しみだ。」
と言う。
「…楽しみですか…?」
莉子は不思議そうに司を見つめてくる。
そんな莉子の頬に触れ、こんな幸せな日々が毎日続くようにと、未来に思いを馳せる。
「俺が例え、太った中年になっても…ずっと側にいてくれるだろうか。」
「もちろんです。夫婦は一生添い遂げるものだと、両親から教わりました。」
と、莉子が穏やかな笑顔を讃えて言う。
「それは良かった…。」
はたして、司が太った中年になるだろうか…?莉子には想像が出来ない。
「きっと、お義父様の様な素敵な男性になられますよ。」
「父が理想なのか⁉︎」
何を慌てたのか、司がベッドからガバッと起き上がる。
「先の話しですよ?司さんはきっと素敵な紳士になられる筈です。」
「それは今の俺ではダメだと言う事か?」
食いついて聞いて来るから、
「今の司さんも未来の司さんも、ずっと大好きです。」
とつい、子供のような言い方をしてしまい、慌てて口元を押さえる。
「良かった、その言葉が聞きたかった。
よし、では今から一緒に牛になろう。」
いつの間にか近くまで来ていた司に抱き上げられ、ベッドの中に入れられる。
「ちょっ、ちょっと待って…ください。」
戸惑う莉子を抱きすくめ、
「俺はずっとこうしていたい。」
と、ぎゅっと抱きしめ離さない。
「もう…太陽が真上に登って来ます…。」
司は困り顔の莉子に優しく口付けをして、時間の許す限り離れないと宣言する。
「今日だけですよ…。」
子供をあやすように莉子は優しくそう言って司を許す。ハハハッと声を上げて笑う司が愛しく思う。
「じゃあ、また今度ダンスのお稽古を一緒にして下さいますか?」
思い切ってお願いしてみると、
「そんな願いだったら何度でも叶えてやる。」
と、司が返してくれる。
「嬉しい。ありがとうございます。」
「莉子は安上がりだな。何が欲しい物とか食べたい物とかないのか?もっと麻里子みたいに、わがまま言ってくれたって構わない。」
妹の麻里子のわがままには、ほとほと手を焼いているが、莉子のわがままだったら何だって叶えてやりたいと思う。
「私は今のこの幸せがずっと続いてくれる事が願いです。これ以上の贅沢はバチが当たってしまいますから。」
「麻里子にもそう言って教えておいてくれ。次の休みにこっちに来るらしいが…あっちにこっちにと動かされそうで、今からぐったりだ。」
そう言って、ポケットからハガキを一枚取り出して莉子に見せる。
「麻里子さんが遊びに来られるんですね。楽しみです。」
ベッドで正座をしてハガキを読み始める莉子が可愛いと、司は横になって腕を枕にじっと見つめる。
この幸せがずっと続けば…か。
司は強く、その莉子の望みを実現したいと思い、心で固く誓う。
慌てて飛び起き、シャワーを浴びて着物に着替えて身なりを整える。
鏡の前で髪をいそいそと梳かしていると、ガチャっと寝室のドアが開き、莉子は驚き振り返る。
「起きたのか…。」
司は手にお盆と紙袋を持っている。
「ごめんなさい…寝過ごしてしまって。」
慌てて立ち上がり、司の側に駆け寄ると、
「そうさせたのは俺だから、気にするな。」
と、紙袋の方を渡されてふかふかのソファに座らされる。
「あいにく俺は料理が出来ないから、パン屋に行っていろいろ買って来た。好きなだけ食べてくれ。」
渡された袋を開けると、まだ湯気が立ちそうなほど温かい焼きたてのパンが沢山入っていた。
あんぱんに、砂糖をまぶしたコッペパン、アップルパイにクロワッサン。どれも美味しそうな香りが漂う。
「こんなにいっぱい…。
わざわざありがとうございます。司さんはどれを食べますか?」
先に司にと勧めるのに、
「莉子が先に選べ。」
と言って、お盆に持って来た急須を湯呑みに注いでくれる。
「すいません…、私が…」
慌てて手を伸ばすのに、気にするなと譲ってくれない。
「早く選べ。俺も腹が減っている。」
笑いながらそう言う司はどこか楽しそうだ。
莉子は迷った挙句あんぱんを一つ取り出して、司に紙袋を渡す。
「2、3個は食べろよ。俺もこんなには食べられない。」
いただきます。と2人手を合わせ、温かなパンを頬張る。
「美味しいです。」
微笑む莉子に満足したようで、司は2個目のパンを食べ始める。
初めて食べるかのようにどのパンも美味しく、空腹に染み渡った。
「今日は一日中ゴロゴロする日だ。家事も一切しなくていいから、腹が減ったらどこかに食べに出かけよう。」
パンを3個も食べ終えた司は、ベッドでゴロンと寝そべって言う。
「食べて直ぐ寝ると…。」
莉子はこんな話しを前にもしたと、途中で言うのをやめて、
「なんだか前にもありましたね。こんな会話…」
司は可笑しそうに笑い、
「これから何度でも同じ様な会話をするんだろな。楽しみだ。」
と言う。
「…楽しみですか…?」
莉子は不思議そうに司を見つめてくる。
そんな莉子の頬に触れ、こんな幸せな日々が毎日続くようにと、未来に思いを馳せる。
「俺が例え、太った中年になっても…ずっと側にいてくれるだろうか。」
「もちろんです。夫婦は一生添い遂げるものだと、両親から教わりました。」
と、莉子が穏やかな笑顔を讃えて言う。
「それは良かった…。」
はたして、司が太った中年になるだろうか…?莉子には想像が出来ない。
「きっと、お義父様の様な素敵な男性になられますよ。」
「父が理想なのか⁉︎」
何を慌てたのか、司がベッドからガバッと起き上がる。
「先の話しですよ?司さんはきっと素敵な紳士になられる筈です。」
「それは今の俺ではダメだと言う事か?」
食いついて聞いて来るから、
「今の司さんも未来の司さんも、ずっと大好きです。」
とつい、子供のような言い方をしてしまい、慌てて口元を押さえる。
「良かった、その言葉が聞きたかった。
よし、では今から一緒に牛になろう。」
いつの間にか近くまで来ていた司に抱き上げられ、ベッドの中に入れられる。
「ちょっ、ちょっと待って…ください。」
戸惑う莉子を抱きすくめ、
「俺はずっとこうしていたい。」
と、ぎゅっと抱きしめ離さない。
「もう…太陽が真上に登って来ます…。」
司は困り顔の莉子に優しく口付けをして、時間の許す限り離れないと宣言する。
「今日だけですよ…。」
子供をあやすように莉子は優しくそう言って司を許す。ハハハッと声を上げて笑う司が愛しく思う。
「じゃあ、また今度ダンスのお稽古を一緒にして下さいますか?」
思い切ってお願いしてみると、
「そんな願いだったら何度でも叶えてやる。」
と、司が返してくれる。
「嬉しい。ありがとうございます。」
「莉子は安上がりだな。何が欲しい物とか食べたい物とかないのか?もっと麻里子みたいに、わがまま言ってくれたって構わない。」
妹の麻里子のわがままには、ほとほと手を焼いているが、莉子のわがままだったら何だって叶えてやりたいと思う。
「私は今のこの幸せがずっと続いてくれる事が願いです。これ以上の贅沢はバチが当たってしまいますから。」
「麻里子にもそう言って教えておいてくれ。次の休みにこっちに来るらしいが…あっちにこっちにと動かされそうで、今からぐったりだ。」
そう言って、ポケットからハガキを一枚取り出して莉子に見せる。
「麻里子さんが遊びに来られるんですね。楽しみです。」
ベッドで正座をしてハガキを読み始める莉子が可愛いと、司は横になって腕を枕にじっと見つめる。
この幸せがずっと続けば…か。
司は強く、その莉子の望みを実現したいと思い、心で固く誓う。



