10分余りで風呂から出て、その足で彼女の眠る客間へ急ぐ。
「お兄様…丸で烏の行水ですよ。もっとゆっくり浸からなければ疲れは取れません。」
すぐに戻って来た俺を麻里子が咎める。
「彼女が起きたら1番に謝りたいんだ。」
それぐらいしか誠意を見せられない。謝って済む様な怪我ではないが…。
「それでも夜中は女中にも手伝ってもらって、みんなで手分けして看病した方が…。今度はお兄様が倒れてしまうわ。」
「俺はそんなに柔じゃない。徹夜は慣れているから気にするな。」
そう言って、麻里子から看病の座を空け渡してもらう。
もうっ、と麻里子は頬を膨らませ言葉なく訴える。
「司様、麻里子様。夜も深くなって参りました。
ここからはこの千代にお任せくださいませ。」
なかなか部屋に戻らない2人の事を心配し、様子を見に来た千代が言う。
「余り根を詰めてもいけません。この状態が何日続くとも分からないのですから、お仕事もありますし、麻里子様も学校があるじゃないですか?」
「悪いが千代、彼女に怪我をさせたのは俺だ。俺には責任がある。せめて彼女が目覚めるまで、自分がやれる事をしたいと思う。」
千代はため息を一つ吐き、頑なに意思を崩さない俺に
「分かりました。司様はお小さい頃からこうと決めたら譲らない、頑固なところがありましたね。」
と、説得を諦めたように、麻里子だけを連れて出て行った。
「お兄様…丸で烏の行水ですよ。もっとゆっくり浸からなければ疲れは取れません。」
すぐに戻って来た俺を麻里子が咎める。
「彼女が起きたら1番に謝りたいんだ。」
それぐらいしか誠意を見せられない。謝って済む様な怪我ではないが…。
「それでも夜中は女中にも手伝ってもらって、みんなで手分けして看病した方が…。今度はお兄様が倒れてしまうわ。」
「俺はそんなに柔じゃない。徹夜は慣れているから気にするな。」
そう言って、麻里子から看病の座を空け渡してもらう。
もうっ、と麻里子は頬を膨らませ言葉なく訴える。
「司様、麻里子様。夜も深くなって参りました。
ここからはこの千代にお任せくださいませ。」
なかなか部屋に戻らない2人の事を心配し、様子を見に来た千代が言う。
「余り根を詰めてもいけません。この状態が何日続くとも分からないのですから、お仕事もありますし、麻里子様も学校があるじゃないですか?」
「悪いが千代、彼女に怪我をさせたのは俺だ。俺には責任がある。せめて彼女が目覚めるまで、自分がやれる事をしたいと思う。」
千代はため息を一つ吐き、頑なに意思を崩さない俺に
「分かりました。司様はお小さい頃からこうと決めたら譲らない、頑固なところがありましたね。」
と、説得を諦めたように、麻里子だけを連れて出て行った。



