帰り道、人混みもまばらになった境内を2人歩く。司が買って来てくれたブーツは暖かく、霜焼けでジンジンと感覚も無かった指先が、ほぐれていくのを感じる程だった。

遠くからまだ舞台のお囃子の音がこだまして聞こえている。

「うどんか蕎麦か、何か温かいものを食べて帰ろう。」
露店も人がまばらで入り易い。

2人で寄り添いうどん屋の暖簾を潜り遅い夕飯を食べる。
「亜子もこんな風に、好きな物を食べられるようになれば良いなと思います。」

「そうだな、後は亜子自身が決める事だ。
あの子はきっと、どこでだって自分の意思思って強く生き抜くだろう。…俺はきっと嫌われたな。」

苦笑いしながら司は莉子を励まして、どこまでも彼女の心に寄り添う。