目覚め
「聞こえるか、沙也。無事に終わった」
ほっぺたを軽くなでられて、わたしは深い眠りから覚めた。
一番先に目に入ったのは、金と白金の目、だった。
「サーヤ姫は?」
隣のベッドを見たら、すでに起きていたサーヤ姫もわたしを見ていたらしく、ばっちり目が合った。
「私は、大丈夫ですよ」
「今のところ、うまくいってるようだ」
マスターが、わたしとサーヤ姫のベッドの間で、満足そうにほほえんだ。
「移植した後は、拒絶反応に気をつけて、しばらくの間安静にしていること。沙也ちゃんも、普通のドナーと同じように、最低四日は安静にしないと」
健斗君は先に起きていたらしい。
「......沙也ちゃん! 今、何時になってる?」
あわてて時計を見る。
「えっと、五時過ぎだよ」
「あと残り十九時間程度......だいたい四日間ここで安静にできるから、ギリギリ間に合う。このベッドでタイムリミットまでじっくり休ませてもらって、それから帰ろう。大丈夫、今度はマスターがちゃんと帰れるようにしてくれるってさ」
「うん。えっと......健斗君、いろいろ、ありがとう」
照れくさかったけれど、ちゃんとお礼を言わなくちゃね。


