でもね、ひとつ疑問。
全ての人から愛されるっていうのは、わたしはあり得ないと思うの。良い人であれば、悪い人からは普通、きらわれるはずでしょう?
「それで、アンドリュー王子とシン王子からも愛されたんだよね? なのに、例えば隣国の王女様とか、密かに王子様に想いを寄せている侍女から恨まれる、っていうことはないって言いきれる?」
「それはないだろう。皆、思っているはずだ。サーヤ姫にはかなわないと」
「......もしかして、こいつ、サーヤ姫しか目に入ってない?」
健斗君が、こっそり話す。
あわててわたしは、髪の毛をいじるふりをして、右手首を耳元に近づけた。
「どういうこと?」
これはアンドリュー王子、健斗君の二人に、それぞれ投げかけたつもりの言葉。
アンドリュー王子が先に答える。
「サーヤ姫は、実は捨て子だった。まだ赤ん坊の頃、我が城の門扉に捨てられていたのだ。番兵が二人、寝ずの番をしていたにも関わらず、いつの間にか赤子はそこに置かれていた。シャーマンに見せると、この赤子は『神様の子』であると、預言された」
捨て子? その言葉に、初めて親近感がわいた。
「そこで、サーヤ姫は我が城で七の歳まで育てられた。我らはそれまで、兄妹のように仲良くこの城で暮らしていた。......サーヤ姫の『力』は、世のため人のために役立てるべきであると、六年前に引き離されるまではな」


