初心者のための異世界転移講座


「健斗殿は、魂だけになって下さい。あなたならできるはず。そしてサーヤ姫のどこかに乗り移るのです。四人で一緒に、私達の世界のサーヤ姫の元へ飛びたいと念じれば、可能なはずです」

 ......頭がついていかない。健斗君が乗り移るって、いったいどういうこと?

「魂だけになるってことは......もうちょっと準備が必要だな。うちの両親にも根回ししとかなきゃならないし。ちょっと母屋へ戻るから、沙也ちゃんは自称王子様達と会話でも楽しんでいて」

 健斗君は一瞬、難しい顔をしてから、ぎゅっと両手をグーにして上を向いた。そして。

「大丈夫。今より悪いことにはならないから」と言い残して行ってしまった。

 準備と根回し、なんて言っていたけれど、どういう準備が必要なんだろうか。

 無関係だった健斗君と、さらにそのご両親まで巻き込んでしまって、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった。


 元を正せば、それは私の両肩にいるこの二人のせいなんだけれど。