異世界巫女修行はじめました~理不尽な現世を飛び出して優秀な呪術師と一緒に異世界で人助けをします~


   幸福の使者


「ネギみそチャーシューとギョウザ、それに半チャーハンをそれぞれ二つずつお願いします! それと、テイクアウトでマヨチャーシューおにぎり二つ!」

 向かいに座る健斗君が、またにやにやしている。

「絶対残さないもん! 誰かさんにいっぱい泣かされたせいで腹ペコなんだから!」

「オレだって負けてないもん! ほぼ五日ぶりの飯なんだから!」

 ラーメンを待つ間に、おそるおそる聞いてみた。

「ねえ、健斗君のお願いごとって、なあに?」

 心なしか、健斗君の顔が赤く見えるのは、気のせい、だろうか?


「よくぞ聞いてくれました! オレの願い事、沙也ちゃんには拒否権ないからね!」

 だからこそ怖い。思わずつばをごくりと飲み込んで、体を固くしていたら。

「まずはアルバイトとして、うちで働いて欲しいんだ。それからいずれうちに就職して巫女として活躍してもらいたい」