α様は毒甘な恋がしたい


 私を挟んで双子アイドルと反対側に並ぶ孝里くんも、明らかに普通じゃない。

「戒ちゃん、僕にマイクでしゃべらせて! オメガを悪者だってほざいてる奴らに、鉄槌(てっつい)を下してみせるんだから!」


 可愛らしいお姫様フェイスを悪魔顔に変え、すごい剣幕で怒っている。


 でも八神先輩は、首を縦には振らなくて。

 前に出ようとする孝里くんの肩を、なだめるようにポンポン。

 私の横まで進むと、私の耳に甘い声を吹きかけた。


「美心は強いね」

「えっ?」

「あとは俺に任せて。美心の想い、みんなに伝えるから」


 王子様のように優しく微笑みながら、私の手からマイクを奪った八神先輩。

 ビリっと表情を引き締めながら立ったのは、ステージ中央の前方。

 あと一歩前に出れば、ステージから落ちるというギリギリの場所。

 客席にいる生徒たちを、引き締まった表情でじっと見つめている。