学校から歩いて15分。


 みんなで駅前のカラオケへとやって来た。


 受付を済ませてドリンクバーで飲み物を入れると、指定されたカラオケルームへと向かう。


 最初は1人ずつ簡単に自己紹介し、1曲ずつ順番に曲を入れて歌い、純粋にカラオケを楽しんでいたのだけど。


「東野さんって、可愛いよね」

「えっ、本当に?」

「うん。俺さ、東野さんのことめっちゃタイプ」


 教室で最初に声をかけてきた茶髪男子・山瀬(やませ)くんが、杏奈の横で話している。


 わたしはその様子を向かいの席で眺めながら、リンゴジュースをストローで啜る。


 真織も、カラオケルームに来てから推しに似ているというメガネ男子・尾上(おのうえ)くんの隣をずっとキープし、彼と話しこんでいる。


 何だろう、これは。カラオケというより、合コンみたいな感じになってない?


 そう思いながらわたしがポテトへと手を伸ばしたとき、同時に横から伸びてきた手と軽くぶつかってしまった。