「倉科さん大丈夫?顔色大分悪いよ?」


球技大会当日。


私は体育館の隅で体育座りをしながら卓球の試合をぼんやり眺めていると、不意に同じチームの女の子が不安気な表情で顔を覗き込んできた。


「……あ。うん、実は生理で少し貧血気味なの」


呆けていたのはそのせいではないけど、貧血なのは事実なので、私は苦笑いでその場を誤魔化した。



よりにもよってこんな日に当たるとは。


ただでさえ球技大会なんて憂鬱なのに、予定日よリも少し早めに来てしまったせいで朝から気分は最悪。


しかも、二日目なのでコンディションはすこぶる悪く、出来れば今日一日見学していたい。


けど、卓球チームは人数が少なく、運動音痴の私でも貴重な人員となっているため、安に抜けることが出来ない。


なので、とりあえず、必要最低限の力でやれるところまで頑張ろうと。


周りが優勝を目指して熱気に包まれる中、私は出番が来るまでの間、他の試合をただひたすら呆然と眺めていた。


そして、何気なく時計に目を向けると、もうすぐバスケの第二試合が始まる時刻となり、私は慌ててその場から立ち上がる。



何を隠そう次は亜陽君が出場する試合なので、絶対に見逃すわけにはいかない。


自分のクラスの応援には行かず、他のクラスを応援するのは少し気が引けるけど、昨日彼とも約束をしたし、私みたいな人はおそらくごまんといるので、ここはあまり気にしないでおこうと。


気持ちを切り替えて、直ぐ隣にあるバスケコートへと急いで足を運んだ。