「倉科副会長、おはようございま……って、何をされてるんですか!?」


「……あ、渚ちゃん。おはようございます。珍しいですね。こんな朝早くに」


「ちょっと忘れ物を取りに。それよりも、それはこっちの台詞ですよ!掃除は副会長がやる仕事ではございません!綺麗な色白の手が荒れてしまいます!」



登校して早々。


真っ先に生徒会室へと向かい掃除を開始した私。


しかし、始めてからものの十分も経たないうちに、予想外の渚ちゃんの登場で作業は呆気なく中断されてしまった。


本当はこのまま強引に進めたかったけど、そうなると有無を言わさず雑巾を奪われそうで、私は渋々手を止めることに。


「すみません。ちょっと心改めようかと……」


「はい?何を改めるんですか?副会長はいつも真面目でひたむきで清楚で女神のようにお美しくて。何故にこれ以上のことを求めるのですか?まさか、私を更に萌え死にさせるおつもりですか?」


それから、行動の理由を説明しようとしたところ、すかさず渚ちゃんの恥ずかしくて死にそうになる程のぶっ飛んだ質問がこれでもかと炸裂し、それ以上何も言えなくなってしまう。



まさか、渚ちゃんがこんな時間から生徒会室に入ってくるとは思わなかった。


本当は人知れずこっそりと事を進めたかったのに、盛大にバレてしまった以上これはもう使えないかもしれない。


やはり、もっと別のやり方でやるべきか。


いっそのこと山に篭って滝に打たれるべきか。


段々と思考がエスカレートしていく中、一先ず冷静になろうと。


私は密かに深呼吸をして、掃除用具を片付け始めた。