「随分と遅かったじゃない。何してたの?」


そして宴会の席から離れてかれこれ一時間以上。


ようやく戻ってきた私と亜陽君を見た母親が、待ちくたびれたように深い溜息を一つはいた。



「もしかして、二人でよろしくやっていたのか?」


すると、その隣ではお酒のせいなのか。


何ともデリカシーのない父親の無粋な問い掛けに、私は耳の先まで熱を帯び始めていく。


「青春でいいねー。若かかれし頃を思い出すよ。いずれにせよ、仲が良いことは何よりだ」 


それを図星だと捉えられ、向かいに座る亜陽君のお父さんが私達を眺めながら、とても満足そうに微笑んでくる。


その言葉が良心をぐさぐさと突き刺してきて、私はただ苦笑いをするしかなかった。

  


ごめんなさい。


私達、皆さんが思っているよりも遥かに乱れています。



そして、心の中ではっきり謝罪をしてから、私達は普段通り聞き分けのいい子供の姿に戻ると、何食わぬ顔でお互い所定の位置へと戻っていったのだった。