雲一つない真っ青な空が広がる秋晴れの今日。


陽があるお陰で比較的暖かく、これまで冬のように寒かった気温が逆戻りして、季節相応の暖かさが舞い戻ってきた。


これなら、お気に入りの少し生地が薄いワンピースが着れると。

早速クローゼットから取り出し、袖を通して鏡の前に立った途端、その気持ちは一気に萎えてしまった。



残念ながらそのワンピースは胸元がそこそこ空いているタイプのデザインで、そうなると亜陽君に付けられた赤い印がはっきり見えてしまう。


いくら両家公認だとしても、流石にこれは誰にも見せられないし、両親にも指摘されてしまいそうで、私は泣く泣く他の服を選ぶことにした。




あれから亜陽君は宣言通り、私にキスマークを付ける行為を止めることはない。


嫌ではないので拒否する理由はないけど、自分の体を鏡に映した時、日に日に身体中に赤い跡が広がっていき、何だか自分がとても淫らな人間に思えて少しの嫌悪感が湧いてくる。


始めは舞い上がっていたけど、こうも数が増えてくると、色々と支障をきたしそうで。


そろそろ亜陽君にやめて欲しいと言うべきかどうか、悩み始めている今日この頃。



しかし、拒否をしてしまえばまた亜陽君を悲しませそうだし、保健室で聞いたあの冷めた声が脳裏にチラつく。


とりあえず、人にバレなければそれでいいかと、結局は妥協で終わり、違う服を手に取ることにした。