麗しの狂者たち【改稿版】

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「あ、倉科副会長!お身体はもう大丈夫ですか!?」

それから、ようやく私は生徒会室に向かうと、部屋に入った瞬間、待ってましたと言わんばかりに、浮かない表情の渚ちゃんが私の元へと駆け寄ってきた。

「はい。ご心配をお掛けして申し訳ございませんでした」

朝からずっと気に掛けてくれた渚ちゃんに多大なる罪悪感を抱きながら、一先ず副会長の席に座って荷物を整理する。


「それじゃあ、これで全員揃ったし、そろそろ始めようか」

そして、部屋の真ん中に設置された大きな楕円型テーブルに腰を据えると、何食わぬ顔で上座に座る亜陽君の一言によって会議がスタートした。

今回の議題は我が校の改善点であり、書記である河原木君はホワイトボードに生徒から寄せられた意見要望をスラスラと書き上げていき、私はそれを呆然と眺めた。

上から読むと、購買の商品をもっと充実させた欲しいや、もう少し髪型を自由にして欲しいや、トイレのアメニティ用品を増やして欲しいなど。

最後の方はカフェテリアや運動施設の新設など、我が校ならではのスケールのでかい要望が挙げられているけど、結局はどれも私欲にまみれた内容ばかりだなと。

毎回この議題を検討する度に思うことであり、真の改善点を挙げてくる意見要望なんてほんの一握り。

なので、あまりにも程度が低い要望は、そもそもとしてホワイトボードに書かれることはなく、先ずは厳しい河原木君の審査に通過しなければ、議題にすら上がってこない。 

こうして絞られた要望を前に、今日も私達は可能な限り実現しようと試みるも、現実的な面でその殆どが却下される。

そんな中で採用された二つの要望。

一つは環境美化に関することと、もう一つは社交パーティーの例年開催。

当校は一流企業、政治家、医師などの名家が集う場所であり、その後継となる生徒がごまんといる。

なので、せっかくの機会を有効活用する為に、大規模なパーティーを開いてそこで顔繋ぎをしたいという。

もはや大人顔負けの将来を見据えた案に私達は即飛び付き、最優先事項として取り上げることにした。