「…………なるほどな」
すると、寝ていたのかと思いきや。
突然ポツリと聞こえてきた八神君の呟き声に、私は勢いよく彼の方を振り向く。
「や、八神君起きてたの!?」
「寝てるなんて一言も言ってねーだろ」
そして、バッチリ冴えた目で悪戯に微笑む彼の表情を見た途端、恥ずかしさが込み上がってきて私は頬を膨らませた。
「もう、起きてるなら応えてくれてもいいじゃん!八神君のバカ!」
結果的に、全て打ち明けたことにはなったけど、意図しない告白となってしまい、私は悔しくなって彼に背を向ける。
「言っとくけど、俺は美月が思う程の人間じゃねーよ。俺はただ人に認められたいから突っ走ってる。承認欲求の塊で……つまり、あんたと一緒だ」
それから、このまま不貞寝してしまおうと思った矢先。
どこかで聞いたことがあるフレーズに、私は首だけを彼の方に向けた。
「俺は良い意味も悪い意味も含めて、家族に認めて欲しかった。けど、何をしても空振りで。そんな中、唯一俺を咎めてくる美月の存在が俺にとっては凄く刺激になったんだ」
そして、これまでにないくらいの正直な八神君を見せられ、初めて知った事実に驚いて、暫く言葉が出てこなかった。
まさか、彼がそんな事を思っていたとは。
てっきり非行を繰り返すことで、挑発されているのかと思っていた。
けど、それは全くの見当違いだったんだと。
改めて彼の本心を聞けたことに、私は嬉しさが込み上がってきて、もう一度彼の方に向き直す。
「もしかして、それが私を好きになった理由?」
そして、いつぞやの質問をはぐらかしてきた意味がようやく理解出来たような気がして、私はここぞとばかりに確かめてみる。
「…………それじゃあ、マジでもう寝るから」
しかし、やはりここは素直に応じることはなく。
予想通りの反応に、私は思わず小さな笑いが溢れた。


