麗しの狂者たち【改稿版】






「……ねえ、八神君。もう寝ちゃった?」

それから、人生初の甘い一夜を過ごした後。
若干の体の痛さを感じながら、隣で目を瞑る彼にそっと話し掛ける。

けど、待てど暮らせど一向に反応はなく、小さく寝息を立てる彼に私は諦めて小さく息を吐くと、仰向けになって木目調の天井を眺めた。


「私ね、ずっと八神君のことが妬ましかったの。問題児のくせに私の全て上をいってて。自分はこんなに頑張ってるのに、それが全部虚しくなって、八神君に八つ当たりしてた」

そして、寝てるのをいいことに、本音をぽつりぽつりと曝け出す。

「だから、必死で追いつこうとしたの。私は八神君程の強さはないけど、少しでも真似してみたら、何かが変われるような気がして……」


何故ここでこんな事を語り出すのか自分でもよく分からない。

でも、全てを受け止めてくれると言ってくれた彼だから、この卑しい自分も知って欲しくて。

本当は起きてる時に言いたかったけど、やっぱり少しの恐怖が拭いきれなくて、私はここぞとばかりに吐き出してみる。