__それから数十分後。
私は言われた通り、大人しくベッドの上で待っていると、同じバスローブ姿の彼が浴室から出てきた瞬間、思わず心臓が小さく跳ね上がってしまった。
……どうしよう。格好良すぎる。
髪が完全に乾いていないからか。
或いはバスローブを緩めに着ているせいで、胸元がはだけているからなのか。
兎に角、普段の数倍色気が増している来夏君に私は目が釘付けとなってしまい、暫く凝視してしまった。
そんな私の視線を一身に受けながら、八神君は満足そうに微笑むと、そのままゆっくりとこちらの方に近付いてくる。
「もしかして、本当に言われた通り待ってたのか?」
そして、やんわりと口元を緩ませると、なんとも意地悪な言い方に、私は恥ずかしさのあまり視線を逸らしてしまう。
「わ、悪い?」
「いや、全く。その矛盾なところ俺は好きだけど?」
そんな私の反応を心底楽しむかのように。
八神君は悪戯にほくそ笑むと、私の隣に腰を下ろした。
確かに、彼の言う通り。
替えの下着はちゃっかり私のバックの横に置いてあったので、着替えようと思えば着替えられたのに。
それをしなかったのは、私も何処かで期待していたから。
けど、それも全て八神君の計算なのは重々分かっている。
完全に試されていることを知った上で、私は彼の思惑に自らハマっていった。
だから、何も言い返せない。


