それから十分の休憩後、私は休む間もなく働いた。
団体客は二時間コースの予約だったけど、貸切なのでお店側もあまり急かすようなことはせず。
自然の流れに任せたら、気付けば約束の時間が裕に過ぎてしまった。
「ごめんなさい。最後までお手伝い出来なくて。なんか凄く中途半端だったね」
店長に接客を一任されて以降。
平均年齢が両親と近いからか、親目線で見てくれるお客さん達と段々打ち解けられ、”楽しい”と感じられる余裕が出来始めた頃にタイムリミットを迎えてしまった。
だから、お客さんを最後まで見送ることなく、片付けをすることもなく。
挙げ句の果てに、時間が遅いからという理由で八神君が駅まで付き添うことになり。
私のせいで貴重な人材を奪ってしまったことに、何だか罪悪感が湧いてくる。
「勤務時間厳守だから気にすんな。それよりも、いつまで封筒握ってんだよ。いい加減それしまえ」
「……あ。確かに」
すると、呆れ顔で指摘された八神君の一言に、私はふと我に返った。
帰り際に店長から渡された今日のバイト代。
ただの社会勉強で来ただけだから、お金はいらないと言ったのに、筋は通さなきゃダメだと無理矢理手渡された。
お小遣いを貰っているので、お金には困っていないけど、自分で働いて貰ったものは何だか格別に思えて。
暫く余韻に浸っていたら、鞄にしまうタイミングを逃して今に至る。


