こうして、お昼休みギリギリまで私は亜陽君と生徒会室で過ごした。


この時間帯の利用者は私達くらいしかなく、他の生徒も立ち入ることはないので、この豪華な部屋を独占出来るのは生徒会員としての特権事項。


周りの喧騒から隔離された、この静かな空間で二人の時間を満喫している最中。頭の片隅にチラついてくる来夏君の存在。


結局彼が何故あんなに怒っていたのか、本人の口から真相を聞くことが出来なかった。



本当にあれは私に対する嫉妬なのか。



それとも、単に玩具が思い通りに動かなくて拗ねているだけか。


もし後者だとしたら、つくづく最低な人だと思うけど、彼ならあり得るかもしれない……。



…………ダメだ。


また考えてしまった。


亜陽君と居る時は絶対に止めようと自制してるのに、ここ最近はどんな時でも来夏君のことを考えてしまう。


「美月?どうしたの?また具合でも悪い?」


「……あ、ううん。平気、少しぼーとしてただけ」


すると、そんな私の異変に気付いた亜陽君が心配そうに顔を覗き込んできて、私は慌ててその場を取り繕う。



最低なのはどっちよ。


そう心の中で自嘲すると、相変わらず惜しみなく注がれる彼の優しさが、まるで傷口に塗られる塩のようで。


嬉しいはずなのに、ズキズキと痛みが増してきて、私はあまり彼の顔を見ることが出来なかった。