きみのためならヴァンパイア




次の瞬間、吹き抜けの二階に見えた人影が、大きな窓のカーテンを少しだけ開けた。

紫月のいる辺りをまばゆい日光が照らす。

目が眩んだのか、ヴァンパイア特有の日光からのダメージを受けたのか、あるいはその両方なのかーー紫月は苦しそうに顔をゆがめて、よろめいた。


それを待っていたかのように、物陰から三人の男が飛び出す。

全員が、陸君と同じマスクをしている。

きっと、陸君の仲間なのだろう。つまり、紫月の敵だ。

そのうちの一人が蹴飛ばしたことで、紫月は床に倒れ込んだ。


「紫月っ!」


私が叫んだところで何の助けにもならない。


いつもの紫月なら、あんな人たちに負けたりしない。

けれど、きっと紫月はここに来るまでにも、陸君の仲間からの攻撃を受けてきているはずだ。

そうしたらいくらヴァンパイアの王様といえど、いつもみたいな強さを発揮できないだろう。

それに、王様であるが故、紫月は日光にはすごく弱いんだ。


すぐに起き上がれない紫月の背に一人の男が跨がって、押さえつけた。

その間にもう一人が紫月の手首をロープで縛る。


ーーこのままじゃ紫月が危ない。


「ーー離して!」


もがいても、陸君が私を拘束する手がよりいっそう強く締まるだけだ。


「ダメに決まってるでしょー? おとなしくしてなよ、いいもの見せてやるからさ!」