「陸君……っ、なんでそんなに紫月のことーー」
「だからさ、邪魔なんだよ」
陸君が言いはなったその言葉は、今までのどんなセリフより冷たい声色に感じた。
「……王様とかさぁ、いらねーの。知ってるでしょ? あいつ、俺らヴァンパイアを言いなりにできるって。ムカつくじゃん、そんなの。チートかよ。ーー俺はね、自由に好きなもん食べて生きていきたいだけ。それを邪魔するような王様、消えてほしくて当然だろ」
……陸君の言いたいことは、よくわかった。
つまり陸君は、紫月がヴァンパイアハンターよりも嫌いと言った、『わざと吸血依存症にさせたり、みっともなく人間を襲う同族、そういうバカ共』ってことだ。
「俺は、てめーらみたいに好き勝手して人間を襲う奴が気に入らねぇんだよ」
「だからさ、ヴァンパイアの敵なんでしょ? 王様のくせに。ここに来るまで、俺の仲間がいたはずだけど。何人やったわけ?」
仲間を率いているあたり、陸君はもしかしたら、紫月の言う『バカ共』のちょっとしたリーダー格なのかもしれない。
「ゴミの数なんていちいち数えてねぇな」
「ほらね。じゃ、もういーよ」
陸君はそう言うと、吹き抜けの二階に向かって手を上げた。



