きみのためならヴァンパイア




陸君の見開かれた目は、赤色を宿している。

ひどいことーーそれが何かはわからないが、私は何かしらを失うことになりそうだ。


ーー怖い。逃げなきゃ。

頭の中で警鐘が鳴る。


けれど恐怖で支配された頭の動きは鈍く、とっさに解決策なんて思いつかない。

力で敵うわけがない。

私の肩を掴む陸君の手を振り払うこともできない。


私はどうしようもなく無力で、今までもこういうことが何度かあって、その度にいつも、同じことを願ってしまうんだ。

どうしようもない私は、たったひとつの救いの手を求めてしまう。


「ーー紫月っ……」

「ふふっ、来るといいねぇ! 俺も来てほしーよ」

「……でも、もし紫月が来たら……」

「俺がやられちゃうよーって? そりゃそうだよねぇ、王様だもん。でもね、今、陽奈ちゃんがここにいるじゃん」


まるで私が人質みたいな言い方だ。

そう思ったとき、はっと気づく。


陸君は、私を連れてきた理由が私の血を飲むためか訊いたとき、半分当たりだと言った。

それなら、もう半分はーー私の勘通りなんじゃないか。


「……もしかして、はじめから人質のつもりで私を連れてきたの?」

「ぴんぽーん、正解」