……カプセルはいっぱいあるし、ちょっとだけ私が持っててもいいかな。
ほら、何かあるかもしれないし?
自分に言い訳しながら、カプセルを3つほどポケットに忍ばせる。
正直なところ、紫月の血液が入ってると思うと、それを肌身離さず持っていたかっただけだ。
自分ながら、ちょっと気持ち悪い願望だとは思うけど。
……自分が紫月に抱く思いが叶わないのはわかってる。
だからせめて、紫月をちょっとだけ自分のものにするくらいは許してほしい。
もし紫月にバレたら、お守り代わり――と言えば聞こえはいいかも。
私はポケットの中のカプセルを指先で確かめながら、寝室を後にした。
◆
――その日の夜、夢をみた。
私の前に、五人の背中が見える。
見えるのは後ろ姿だけど、知らない人だとわかる。
右から背の高い順に並び、男の人、女の人、少女、男の子、男の子、といった感じだ。
なんとなく、彼らは家族のように思えた。
彼らの見据える先には、いつの間にか私の父親が立っていた。
夢なのはわかっているし、私は本当にここにいるわけじゃない。
誰も私のことを認識している様子はない。
だけど、なぜだか怖くて仕方なかった。
顔にかげが差して表情の読めない父親は、懐から銀のピストルを取り出して、男の人に銃口を向ける。
――やめて。
そう思うのに、声が出ない。目をそむけることもできない。
やがて父親は引き金をひいた。



