きみのためならヴァンパイア




……寝てる。

相変わらず綺麗な寝顔に添えられた手のひらをゆっくり持ち上げて見ると、あのときの傷はもうほとんど治っているみたいだった。

その代わり――というものでもないけど、紫月の指先には、いくつかの小さな傷が目立つ。

……これ、なんだろう?


考えながら紫月の顔に視線を落とすと、彼と目が合った。


「わっ、なに!?」


いつから起きてたんだろう。

驚かすのはやめてほしい。


「……なに、は俺のセリフだろ」

「えっと、この傷……どうしたのかなって思って」

「あー……あれ、作るときの」


紫月が怠そうに指さした先は、ミニテーブルの上に乱雑に置かれたカプセルだった。

なるほど。指先を切って、カプセルに血液を入れてるってことか。


「そうだったんだ……て、いうか、カプセルもっとちゃんとしまっときなよ!」

「なんで……いーだろ、べつに」

「よくないよ! 紫月がわざわざ痛い思いして作ってるのに、なくなったりしたらもったいないよ」

「もったいないってなんだよ、俺の血がか?」

「そうだよ?」

「そんな数滴どうでもいいって……」

「もー、じゃあ私がしまっとくからね? とりあえずここの引き出しでいい?」

「好きにしろ」


紫月はそう言うと、枕に顔を埋めてしまった。


数滴だからって、どうでもいいってことはないだろう。

指先といえど切るのは痛いだろうし、血だよ?

もっと自分を大切にしてほしい。


カプセルを手に取って、引き出しにしまおうとして――つい、魔が差した。