きみのためならヴァンパイア




陸君が気に入らないのはわかったが、私にやつあたりされても困る。

けど、紫月を置いて陸君に着いていった私もちょっとだけ悪かったかもしれない。


ーーあれ、待って、もしかして……嫉妬?


思い至った結論を、すぐに自分自身で否定した。

そんなわけないよね、きっと。


私は紫月にとっておいしいデザートで、それが少し陸君に近づいたから嫌だっただけ。

自分で考えといてむなしくなるけど、それでも、紫月が私を必要としてくれてるように感じて、ほんの少しだけうれしかった。





紫月は前に体調を崩してから、昼間に寝るようになった。

きっとあのとき無理していただけで、今が本来の生活リズムなのだろう。

日光を浴びすぎてはいけない。ヴァンパイアは夜に生きるものだ。


私もなるべくそれに合わせてはいるけれど、もともと完全な朝型生活だったのもあって、どうしてもぴったり同じにはならない。

ちょうどお昼頃に目が覚めた。


寝室を出る前にベッドで眠る紫月に目をやると、こっちに背中を向けていた。


……そういえば、樹莉ちゃんから受けた手の傷はどうなったかな。

起きてるときは訊いてもちゃんと見せてくれないから、今がチャンスかもしれない。


そうっと紫月に近づいて、顔を覗き込んでみる。