陸君の方を見ると、そこには綺麗なハートのラテアートが完成していた。
「わぁ、上手! 私、最初こんなにできなかったよ」
「こういうの、結構得意なんだよねぇ。料理とかも」
人を見た目で判断しちゃいけないとは思うけど、正直、意外だ。
その後、陸君とは話が合うことがわかって盛り上がってしまった。
料理のことから、家族と不仲なんてことまで。
もちろんヴァンパイアハンターの話はしてないけど。
……で、私はこのときのことを、ちょっとだけ後悔した。
◆
帰宅して、すぐのこと。
玄関に入って突然、紫月は私を壁に押し付けた。
はじめて会ったときとおんなじだ。
「えっと、紫月……?」
紫月はなんにも言わない。
薄暗い玄関で、彼の表情はわからない。
「あのー、離して……」
紫月は私の髪を指ですくって、それから、私の耳に噛みついた。
……場所も強さも、いつもと違う。本気で噛んでない?
「いっ――た……」
思わず声を漏らすと、紫月は何度か甘噛みをして、ようやく離してくれた。
「い、痛いよ……なんで本気で噛むの!」
「……やつあたり」



