きみのためならヴァンパイア




陸君の方を見ると、そこには綺麗なハートのラテアートが完成していた。


「わぁ、上手! 私、最初こんなにできなかったよ」

「こういうの、結構得意なんだよねぇ。料理とかも」


人を見た目で判断しちゃいけないとは思うけど、正直、意外だ。


その後、陸君とは話が合うことがわかって盛り上がってしまった。

料理のことから、家族と不仲なんてことまで。

もちろんヴァンパイアハンターの話はしてないけど。


……で、私はこのときのことを、ちょっとだけ後悔した。





帰宅して、すぐのこと。

玄関に入って突然、紫月は私を壁に押し付けた。

はじめて会ったときとおんなじだ。


「えっと、紫月……?」


紫月はなんにも言わない。

薄暗い玄関で、彼の表情はわからない。


「あのー、離して……」


紫月は私の髪を指ですくって、それから、私の耳に噛みついた。

……場所も強さも、いつもと違う。本気で噛んでない?


「いっ――た……」


思わず声を漏らすと、紫月は何度か甘噛みをして、ようやく離してくれた。


「い、痛いよ……なんで本気で噛むの!」

「……やつあたり」