きみのためならヴァンパイア





夕暮れ時、紫月と一緒にともりのドアを開く。


「マス――」

「陽奈さん! 大丈夫だったのかい? 僕、もう心配で心配で……」


私が言いきるよりも先に、マスターが心配そうに眉を下げながら駆け寄ってきた。


「もう大丈夫です! 動くと少しだけ痛むくらいで」

「そうかぁ。店は大丈夫だから、治るまでしっかり休んでね」

「ありがとうございます。あの、これ……心配かけちゃったから。マスターほど上手じゃないかもしれないけど」


クッキーの入った箱をマスターに差し出す。

マスターは開けてもいい?と私に訊ねてから、箱を開けた。


「わぁ、かわいいね! ありがとう」


クッキーを見た瞬間、マスターはうれしそうに微笑む。

よかった。マスターの好みそうな星や猫のかたちにした甲斐があったみたい。


「えへへ、喜んでもらえてよかったです」

「な?」


紫月はいつの間にか椅子に座っていて、どこか得意気に小さく笑った。


「それじゃあいただこうかな」


マスターがクッキーに手を伸ばそうとしたとき――店の奥から、知らない男の人が顔を出した。


「あ、うまそー」