「会わせてもらえなかったから」
「……あ、あぁ、面会するのに?」
「そう」
……それだけの理由。
そりゃ、そうだよね。それ以上の意味なんてない。
なにに期待をしていたのか、少しがっかりしている自分を馬鹿馬鹿しく感じる。
けどさ。ちょっとだけ思うんだ。
「……私たちの関係って、なんなんだろね」
始まりは突然で、他に選びようもなくて。
でも私はあのとき紫月に出会えて本当によかったと思う。
それから一緒にごはんを食べて、隣で寝て、同じお店で働いて――それって、なんていうのかな。
関係性に名前がほしいわけじゃない。
そんなのなくてもいいって、わかってる。
それなのにどうしてか、不安になるんだ。
それはきっと、私がワガママだから。
私の傷をいたわるように後ろから回された紫月の手のひらに、私も自分の手を重ねた。
「……本当にする?」
「えっ……」
「婚約」



